2022年7月にボリス・ジョンソン前首相が辞任を表明し、2022年9月5日にイギリス保守党次期党首、およびイギリス次期首相が決定します。今回のイギリス保守党次期党首候補は、リシ・スナク氏とリズ・トラス氏の決選投票となりましたので、両者の人物像と政策の違いについてまとめてみました。
先日、イギリス保守党党首選の選挙日程についてもまとめましたので、こちらも併せてどうぞ。

リシ・スナク氏とリズ・トラス氏について
イギリス保守党党首選は、2022年8月17日時点でリシ・スナク氏とリズ・トラス氏の決選投票が決まっています。そこで、リシ・スナク氏とリズ・トラス氏の人物像と政策についてご紹介していきます。
リシ・スナク氏

まずは、2022年7月20日までに行われた投票で1位をキープし続けているリシ・スナク氏をご紹介します。
リシ・スナク
インド系イギリス人。
両親はイギリス生まれだが、アフリカ出身のインド系移民として知られている。
キャッチコピーは、『経済再建、Brexitの確行、労働党に勝利する』
年齢:42歳
役職:前 財務大臣
経歴:
ゴールドマンサックスに勤めた後、投資会社の共同設立を経て政界へ。
主張・公約:
インフレ抑制に重きを置き、減税については2023年秋ごろを予定。
次期選挙で労働党に勝利する。
リシ・スナク氏は、ジョンソン内閣の元財務大臣です。
ボリス・ジョンソン首相が辞任に追い込まれたきっかけとなった第一人者であり、ジョンソン内閣から真っ先に抜けた一人です。
現在イギリスでは深刻なスタグフレーションに悩まされており、インフレ抑制のために増税の政策を掲げています。
2022年7月20日までの投票結果で1位を独占し続けているスナク氏ですが、実はジョンソン首相の辞任の理由の1つであるコロナ禍でのパーティーに参加していた一人でもあります。そんなスナク氏は、一部のところでは裏切り者と言われたりしています。
リズ・トラス氏

次に、2022年7月20日までの投票で2位を獲得したリズ・トラス氏(エリザベス・メアリー・トラス氏)のご紹介です。
リズ・トラス(エリザベス・メアリー・トラス)
オックスフォード生まれ。
父はリーズ大学教授の数学者ジョン・ケネス。母は、看護師・教師で元核軍縮運動会員のプリシラ・メアリー・トラス。両親は共に労働党左派であったため保守党から出馬した際、激しく批判・反対された。
年齢:46歳
役職:外務大臣
経歴:
石油大手や通信業界を経て政界へ。環境大臣、法務大臣、国際貿易大臣などを歴任する。
主張・公約:
法人税率引き上げの撤回、国民保険料の引き下げなどの減税。
BOEの政策を批判。
強硬な対ロシア姿勢。
EUとの対立。
リズ・トラス氏(エリザベス・トラス氏)は、現在も外務大臣を務めています。
トラス氏は、法人税率引き上げの撤回や国民保険料の引き下げといった減税を重きに置いており、BOEが現在行っている政策に対して非常に批判的な姿勢をとっています。
また、Brexit後に国際貿易大臣を務めており、日本をはじめとする国々とFTA(自由貿易協定)を締結した実績もあります。
ジョンソン首相とコロナ禍のパーティーに参加していたスナク氏とは違い、トラス氏は保守党党内からの信任が厚いため、一部では、決選投票でトラス氏がスナク氏の票を上回るのではないかとの見方もあります。
スナク VS トラス、勝つのは果たして…?
実際、自分自身がイギリスに住んでいるわけではないので、今回のイギリス保守党党首選でどちらが人気なのかという温度感は全く掴めていません。
両者の主張は財政の面で全く逆なので、現在のイギリスではどちらの言い分が受け入れられるのかというところが、非常に見どころなのではないでしょうか。
颯爽とジョンソン首相を裏切ったスナク氏が勝つのか、はたまた保守党内で人気の高いトラス氏が勝つのか。それを受けて英ポンドの値動きがどうなるのか。今後の動きに目が離せません。